豪華客船での勤務希望者なら誰もが憧れるであろう日本最大のクルーズシップ「飛鳥2」。
この記事では実際に採用された人だけが語ることができる、飛鳥2クルーの応募から面接・採用・乗船まで求人に関わる詳細かつ具体的な流れを紹介します。
また飛鳥2が求める人物像や面接内容・筆記試験内容・面接中にこれだけは絶対に気をつけていてほしいポイントなどのアドバイスをまとめました。
私のバックグラウンド
私が飛鳥2に応募した時はちょうど30歳位でした。それまでは複数の外国航路の客船で勤務経験がありました。
船で働いていたからといって、特別な資格や免許を持っているわけでもなく特別な経験もまったくありませんでした。
立派な大学を卒業したわけでもありませんし、船で働く前はアルバイトで接客業を数年やっていたくらいです。
しいて言えば、英語が好きだったので独学で英語の勉強は続けていたくらいです。というくらい飛鳥2へ応募した時点では何も特筆すべきことがないバックグラウンドを持つ人間でした。
オフィサーや機関士といった船の運行に関わる方々はちゃんと学校で航海技術などを学んでおられるのでそういう意味では尊敬しますが、一般クルーは本当に普通の人ですよ。
なので「飛鳥2」というブランドに圧倒されて応募前から「私は(僕は)とてもじゃないけど飛鳥2なんかに採用されないだろう」なんて勝手に思う必要はありません。
応募すること自体には何のリスクもないので是非挑戦してみてください。
郵船クルーズに応募する
飛鳥2に乗ってみたいという想いは以前からあったんですが、当時在籍していた職場もそれなりに楽しかったので実際に応募まではすることはありませんでした。
しかし、ちょうど休暇で日本にいる時になんとなく郵船クルーズのホームページを覗いてみると海上社員の中途採用情報が掲載されていました。
ホームーページからそのまま応募できるようになっていたので、その場の勢いで必要情報を入力して応募してしまいました。
に郵船クルーズの採用ページURLはこちら
するとなんと数日後に自宅に郵船クルーズから返事がきました。「是非面接をしたいので会社までお越しいただけますか?」といった内容。
3つくらい面接希望日が記載されていたので、都合の良い日とともにぜひ面接させてくださいという旨返事をしました。
一次面接詳細内容と攻略ポイント
面接は横浜みなとみらいにある郵船クルーズのオフィスで行われました。
会社に到着して通されたのはオフィスの隅にあるソファーだけが置いてあるような小さな応接室でした。
私の場合は中途応募で1人で面接をうけましたが、定期採用の場合はグループ面接となり複数人で会議室のような大きな部屋で面接が行われるようです。
面接で出てきたのは人事部担当の方が2人と応募部署の担当者の方3人でした。
面接の内容はいたって普通の企業で行わるようなものでした。履歴書と職務経歴書をみながら、自己紹介から始まって志望動機、これまでの仕事内容や経歴を説明するといった感じです。
ここらへんで聞かれるのは本当に普通の質問なので、対策としてはよくある質問集などを参考に答えを予め用意しておくことをおすすめします。
ここで面接中における超重要なポイントをお伝えします。飛鳥2の信条として「ハッピークルー、ハッピーゲスト」というものがあります(参考:郵船クルーズ スタッフからのメッセージ)。
参考リンクを開いていただければわかりますが、飛鳥2ホームページ内には「郵船クルーズはクルーが笑顔で働いていてはじめてお客さまにも笑顔ですごしていただけると考えていますし、お客さまの笑顔はクルーを幸せにさせてくれると考えています。」という1文があります。
飛鳥2の船上では実際にこれを体現していて一緒に働いていたクルーは明るくていつも笑顔の人が多かったです。職場ですれ違うときにも「おつかれさまです」と笑顔で挨拶する人もいて関心しました。
この点は面接時に絶対に見られているので、常に笑顔でいることを意識しておきましょう。笑顔で明るくポジティブな態度を醸し出すように心がけるのが重要ポイントです。
面接官の方も優しいですし、今思い出せばよく笑顔をだしていました。全体を通して結構和やかな雰囲気でしたよ。
私の場合は船勤務経験があったので話がしやすかったということもあったかもしれませんが、特に事前に専門用語を覚えたり船の知識等を覚えておく必要はありません。
公式採用ページにも「入社してから覚えてもらえればよいので、事前の知識は必要ありません」としっかり書いてあるので(繰り返しますが、ホームページは全て目を通してください)、その点心配はいりません。
面談の方は30分程度で終わりました。一次面接では面談に続いて適性検査として筆記試験も行われました。私の場合は「国語」「数学」「英語」の3科目試験がありました。
内容はせいぜい高校初級程度のものでした。数学は基本的な◯X+△Y=Zみたいな基本的な方程式を解いたり、国語も一般常識というようなもので特に難しいものではなかったので、筆記試験対策として特別これはやっといたほうが良いよというのはありません。
とは言っても不安なのであれば基本的なSPI対策ぐらいしておくと良いかもしれません。
逆にちょっとびっくりしたのが英語のテストです。英語のテストもいわゆる学校英語のようなカッコ埋め問題・英語を日本語に訳すといった程度のものでこんなので英語レベル測れるの?といったものでした。
どこかでネイティブがでてきて英語喋らされるのかとおもっていましたが、結局一次・二次面接を通して英語のスピーキング・リスニングテストは行われませんでした。
海上社員募集内容にも必須スキルとして「日常英会話程度の英語は必須」とされていますが、はっきり言って皆さんあまり英語は得意ではないです。乗船してみると日常会話もちょっと怪しい方々が結構いたことに一番びっくりしました。
実際に乗船してわかりましたが片言の英語でも結構いけたりもします(部署に寄っては毎日英語を使う場合もあります)。多分TOEIC750点もあれば必要レベルはクリアしているような気がします。
逆に言うとまともな英語がしゃべる人はかなり重宝されます。選考時にもTOEICスコアくらいは見られますし、なるべく高い点数を持っていたほうがライバルと差をつけられるので、英語は身につけておいたほうが絶対に良いです。
それから、留学経験があるとか、海外の学校を卒業したとか、海外に長期滞在した経験があればアピールしておきましょう。船上はインターナショナルな環境なので海外経験があれば適正ありと思われる可能性ありです。
そんな感じで1次面接は終了。所要時間は全部で1時間位だったと記憶しています。追って別途結果は連絡しますということでその日は終えました。
二次面接詳細内容と攻略ポイント
1次面接を終えて1・2週間たった頃だったと思いますが、2次面接を行いたいとの連絡が人事担当者からありました。
2次面接は、郵船クルーズ側の登場人物がレベルアップ。なんと人事担当者だけでなく、郵船クルーズの社長や取締役等の役員も登場です(他の同僚クルーに聞いてみたところ2次面接に出てくる役員は人によって違うようでした)。
向こうは全部で5人くらいいました。もちろんこっちは1人なのでめちゃめちゃ緊張しました。
2次面接の内容は改めて役員向けに自己紹介・職務経歴などを説明し、志望動機を語るというところから始まりました。それからあとは終始郵船クルーズ側の質問に答える感じの面談でした。1次面接で聞かれた内容と同じようなこともありましたが、今回は役員が応募者の人を見る目的でといった感じでした。
正直2次面接に向けてこれはやっといたほうが良いよみたいなアドバイスはないです。
おそらく人物評価に最も重みを置いているので、「質問に対する返答内容」より「質問にどう応えるか」「人柄・性格」「コミュニケーション力」などを見られていると思ってください。
ある程度緊張するのは当然ですが、ポイントはやはり質問には笑顔で明るく返答することだと思います。
真摯な受け答え・常に笑顔を心がけてください。ちなみに1次面接のように筆記試験はなしでした。
採用通知
選考結果は電話でお知らせしますと伝えられていたので、いつ返事が来るかドキドキしながら日々過ごしていましたが、2次面接から1週間くらいして人事担当者から電話がありました。
結果は見事「採用」でした。もちろんその場でこちらこそよろしくお願いしますという返答をして、飛鳥2にクルーとして乗船できるようになりました。
乗船
採用連絡が来てから実際の乗船までには少し時間があります。私の場合は採用通知の連絡が来た時点ではまだ前の会社に籍があったので退社までの2ヶ月程度乗船は待ってもらいました。
とは言ってもその間に会社と契約書等の書類のやり取りはやっていました。人によっては必要があればポスポートの更新や健康診断・予防接種を受けたりと各種手続きがいろいろあって乗船準備に忙しいかもしれません。
そして気になる雇用形態ですが原則入社時は契約社員となります。2年経過後に本人の希望・適正・勤務実績を踏まえて正社員へ移行という形になっています。
名門ブランドだけあってお給料は良いです。乗船中は基本給に乗船手当が更に上乗せされますし、1ヶ月とか2ヶ月の休暇中も基本給だけは支給されます。
乗船中は衣食住の全てが会社から支給されるのでほとんどお金を使うことはないと思います(ビール買っても100円くらい)。飛鳥に限らずですが、船で働くとお金が貯まるというのは嬉しいポイントです。
おわりに
郵船クルーズの採用過程は「新卒」「中途」でだいぶ過程も違いますし、「中途」の場合でも仲間たちに聞いてみると面接内容が微妙に違ったりしていました。
今回は私自身の経験を元に応募から乗船までの一連の流れを紹介しました。飛鳥2での就職を目指している方々の参考になれば幸いです。